Make.comで業務フロー自動化入門:ノーコードでメール・フォーム・スプレッドシートを連携する実践ガイド
クラウドツールが増えるほど、ツール同士の「つなぎ目」で発生するコピペや手動転記も増えてきます。Googleフォームに届いた問い合わせをSlackに転送する、受注メールの添付ファイルをGoogleドライブの特定フォルダに移す、スプレッドシートの更新を担当者にメールで知らせる。これらはすべて「1回はできるが毎回やると積み上がる」作業です。
Make.com(旧Integromat)は、こうした「ツール間の橋渡し」を自動化するためのノーコードワークフローツールです。プログラミングの知識なしで、複数のクラウドサービスをつないで自動処理フローを作れます。この記事では、Make.comの基本的な考え方と、少人数チームが最初に試すべき設定手順を整理します。
Make.comとは何か
Make.comは、「トリガー(きっかけ)」と「アクション(処理)」を組み合わせてワークフローを作るサービスです。複数のアプリやサービスを「モジュール」と呼ばれるブロックとして接続し、「○○が起きたら→□□をする」という処理の流れをビジュアルで組み立てます。
対応しているサービスは1,000種類以上で、Google Workspace(Gmail・スプレッドシート・ドライブ・フォーム)、Slack、Notion、kintone、HubSpot、Shopifyのほか、汎用のHTTPリクエスト機能を使えばAPI対応サービスなら概ね接続できます。
無料プランでは月1,000回の処理実行が可能で、小規模な自動化を試す分には十分な上限です。処理量が増えたら有料プランに切り替える、という段階的な進め方ができます。
ワークフロー自動化のよくある使い方
Make.comでよく使われる組み合わせを業務タイプ別に整理します。
問い合わせ・申請の受け取り
| トリガー | アクション | 用途 |
|---|---|---|
| Googleフォームに回答が届いた | Slackの担当チャンネルに通知 | 問い合わせの即時共有 |
| Gmailに特定件名のメールが届いた | スプレッドシートに行を追加 | 問い合わせ台帳への自動記録 |
| kintoneにレコードが作成された | Gmailで確認メールを送信 | 申請受領の自動返信 |
社内共有・報告
| トリガー | アクション | 用途 |
|---|---|---|
| スプレッドシートが更新された | Slackに更新通知を送る | 在庫・進捗の変更を即共有 |
| 月初めのスケジュール(定時実行) | Gmailでレポートを配信 | 月次報告書の定期送付 |
| Notionのデータベースが更新された | Slackに変更内容を通知 | タスク管理の変更通知 |
ファイル整理・データ転記
- メールの添付ファイルをGoogleドライブの指定フォルダに自動保存する
- フォームの回答内容をNotionのデータベースに転記する
- 受注情報のスプレッドシートから、請求書ドラフトを自動生成する
最初に作るワークフロー:Googleフォーム → Slack通知
初めてMake.comを使う場合、「Googleフォームへの回答をSlackで通知する」のが最もシンプルで効果を体感しやすい入門例です。設定の流れは次の通りです。
- Make.comのアカウントを作成し、新しいシナリオを作成する
- 「Googleフォーム」モジュールを追加し、Googleアカウントと連携させる
- 通知したいフォームを選択し、「Watch Responses」(新規回答を監視)を設定する
- 「Slack」モジュールを追加し、Slackワークスペースと連携させる
- 投稿するチャンネルと、メッセージの内容(フォームの回答項目を埋め込む)を設定する
- 動作確認のためテスト実行を行い、Slackに正しく届くことを確認する
- 「スケジュール」をオンにして自動実行を開始する
この設定は慣れれば30〜60分程度で完成します。初回は操作に迷う場面もありますが、Make.comのドキュメントや日本語のコミュニティ情報が充実しているため、調べながら進めることができます。
導入時の注意点と失敗を避けるコツ
複雑な処理は後から追加する
最初から複雑な条件分岐や複数ステップのフローを作ろうとすると、設定のミスが見つけにくくなります。まず「トリガー1つ、アクション1つ」のシンプルなフローで動作確認してから、ステップを追加する順序で進めてください。完璧なフローを最初から目指さないことが、挫折を防ぐ最大のコツです。
エラー通知を必ず設定する
Make.comはフローが失敗したときに「エラーハンドリング」という設定でアラートを飛ばせます。何も設定しないと、フローが止まっていても気づかないまま数日が過ぎることがあります。最低限「エラーが起きたらメールかSlackで通知する」を設定しておきましょう。
個人情報・機密情報の扱いを確認する
Make.comはクラウドサービスを経由してデータを処理するため、扱うデータの内容に注意が必要です。顧客の個人情報や社外秘のファイルを自動処理フローに流す場合は、利用規約やセキュリティポリシーを確認したうえで、社内ルールを整備してください。
Make.comとRPAの使い分け
Make.comはRPAとよく比較されます。大きな違いは「どこを動かすか」という点です。
- Make.com:クラウドサービスのAPI同士をつなぐ。設定がシンプルで保守しやすいが、API非対応のシステムとは繋がらない
- RPA:画面上の操作(クリック・入力)を再現する。クラウド・オンプレミス問わず操作できるが、UI変更で動かなくなることがある
社内にオンプレミスの基幹システムが多い場合はRPAが有効で、主な業務がクラウドツール上で完結している場合はMake.comの方がシンプルに導入できます。ツール間のデータ連携だけが課題であれば、Make.comから試す価値があります。業務AIやAIエージェントを使う企業の中には、AIの処理結果をMake.comで各ツールに配信するという組み合わせを採用するケースも増えています。AIと自動化の組み合わせ事例については、AIWAY Groupのメディアでも実例が紹介されています。
よくある質問
Q. 無料プランで何ができますか?
月に最大1,000回の処理実行が可能です。1日あたり約33回の計算になるため、「問い合わせフォームへの回答を毎回Slackに通知する」用途であれば、月33件以下の問い合わせなら無料で対応できます。処理量が増えたら有料プランへの切り替えを検討してください。
Q. kintoneやサイボウズGaroonには対応していますか?
kintoneはMake.comの公式モジュールがあり、比較的容易に接続できます。サイボウズGaroonは公式モジュールがありませんが、APIが公開されているためHTTPモジュールを使って接続することは可能です。設定にはAPIの基本的な知識がある程度必要になります。
Q. 設定した自動化はいつ動きますか?
「即時実行」と「定時実行」の2種類があります。フォームの回答を即座に通知したい場合は即時実行を、レポートを月初に送りたい場合は定時実行(スケジュール指定)を設定します。
まとめ
Make.comは、プログラミングなしでクラウドサービス間のデータ連携を自動化できるワークフローツールです。最初の1つはシンプルなフローから始め、動作を確認しながら少しずつ拡張するのが失敗しない進め方です。コピペや転記に使っていた時間が減った分、本来注力すべき業務に集中できる環境が整います。AIWAY Groupでは、こうした業務自動化の設計・導入支援を行っています。