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総務の問い合わせ対応をAIで整理する|FAQ化のすすめ

総務は「社内の何でも窓口」になりがちな部署です。経費精算のやり方、備品の購入申請、有給休暇の申請方法、社内システムのパスワード再設定など、毎日のように同じ質問が寄せられます。少人数で回している会社ほど、こうした問い合わせ対応が本来の業務を圧迫します。問い合わせの多くは内容が重複しているため、AIを使って一度きちんと整理すれば、対応の負担は大きく減らせます。この記事では、総務の問い合わせをFAQ化し、AIで回答を支援するまでの実践的な進め方を紹介します。

まず「同じ質問」を可視化する

最初にやるべきは、どんな問い合わせが多いのかを把握することです。感覚で「よく聞かれる」と思っていても、実際に集計すると違う傾向が見えることがあります。

おすすめは、過去1〜2か月の問い合わせを集める方法です。チャットツールやメール、口頭でのやり取りメモを集め、AIに貼り付けて分類してもらいます。たとえば「次の問い合わせ一覧を、内容ごとにグループ分けして、件数の多い順に並べてください」と指示すれば、傾向が一覧化されます。

  • 経費・精算に関する質問
  • 備品・消耗品の申請
  • 勤怠・休暇の手続き
  • 社内システムやアカウント関連

この段階では完璧を目指す必要はありません。「上位5〜10個の質問」が見えれば十分です。問い合わせの8割程度は、限られた種類の質問が占めていることがほとんどです。

集計してわかること——実際の数字感

社員数30名規模の会社で1か月分のSlackの社内チャンネルとメールを集計した例では、総務への問い合わせ件数が月間52件ありました。そのうち「経費精算の締め日と提出先」「有給の残日数の確認方法」「備品購入の上限金額」の3種類だけで全体の37件(71%)を占めていました。この3種類さえFAQ化できれば、月の問い合わせ対応のうち7割を定型的に処理できる計算になります。

担当者ひとりが1件の問い合わせ対応に平均で5〜8分かかるとすると、37件×6分=約3.7時間。月に3〜4時間が繰り返しの同じ質問に使われていた、というのはよくある実態です。

収集するチャネルを決める

口頭の問い合わせは記録が残りにくいため、まずチャットツールとメールだけで集計を始めると現実的です。Slackであればチャンネルのメッセージ検索、Teamsならばチャット履歴のエクスポート機能が使えます。記録が乏しい場合は、これを機に「総務への問い合わせは専用チャンネルへ」というルールを設けると、次月以降の集計が格段に楽になります。

回答をFAQとして文章化する

多い質問が分かったら、それぞれに対する標準的な回答を用意します。ここでもAIが役立ちます。すでに手元にある社内ルールや就業規則の該当箇所を渡し、「この内容を、社員向けのやさしい言葉でFAQ形式にしてください」と頼むと、下書きがすぐにできます。

FAQを書くときの観点は次の通りです。

  1. 質問は社員が実際に使う言葉で書く(「経費精算」より「立替えたお金はどう戻る?」など)
  2. 回答は結論を先に、手順は番号付きで簡潔に
  3. 申請期限や担当窓口など、抜けやすい情報を必ず添える
  4. 例外がある場合は「その他のケースは総務へ」と逃げ道を残す

AIが作った下書きは、必ず人が内容を確認してください。社内ルールは会社ごとに異なり、AIが一般論で補ってしまうことがあります。事実関係のチェックは総務担当者の役割です。

FAQ作成のプロンプト例

AIに下書きを作らせるとき、指示の仕方が大事です。次のようなプロンプトが実際に使いやすいです。

以下の社内規程の抜粋を参考に、「経費精算の手続き」についてのFAQを作ってください。読み手は一般社員です。専門用語を避け、手順は番号付きで書いてください。承認の流れ、提出先、締め日、振り込みのタイミングも必ず含めてください。【規程の抜粋をここに貼り付ける】

ポイントは「読み手を明示する」「含めてほしい情報を具体的に列挙する」の2点です。この2点を入れるだけで、出てくる下書きの質が大きく変わります。

FAQ1件を具体的に書くとどうなるか

たとえば「経費精算の締め日と支払日はいつ?」という質問なら、FAQ回答はこのような構成になります。

  • 締め日: 毎月20日(20日が土日祝の場合は直前の金曜日)
  • 提出先: 総務チャンネルのフォームから申請
  • 支払日: 翌月15日(給与と同じ口座に振り込み)
  • 領収書の添付: 5,000円以上は必須。写真データ(JPGまたはPDF)で提出
  • 例外: 10万円を超える立替は事前承認が必要。詳細は総務へ

回答に「締め日・提出先・支払日・添付の要否・例外の扱い」の5点が揃っていると、二次質問がほぼ出なくなります。逆にこの5点のどれかが欠けていると、確認の問い合わせが繰り返されます。

FAQ化で防げる「言った言わない」問題

言葉でのやり取りだけに頼っていると、「去年は3万円まで上限なしで申請できると聞いた」「担当者によって言うことが違う」という問題が起きがちです。FAQとして文書化することで、全員が同じルールを参照できる状態になります。特に担当者が交代したタイミングや、制度改定の後に威力を発揮します。

AIで回答を下書きする運用にする

FAQが整ったら、次は日々の対応にAIを組み込みます。問い合わせが来たら、FAQの内容をAIに参照させ、回答の下書きを作らせる流れです。担当者は内容を確認し、必要に応じて手直しして送るだけになります。

この運用には2つの利点があります。1つは回答のばらつきが減ること。誰が対応しても同じ基準で答えられるため、「前は違うことを言われた」という社内の不満が起きにくくなります。もう1つは属人化の解消です。ベテラン総務担当者の頭の中にあった知識が文章として残るので、担当者が休んでも他の人が対応できます。

注意点として、給与額や個人の評価といった機微な情報は、FAQの対象から外してください。こうした個別性の高い問い合わせは、AIで定型化するより人が直接対応するほうが適切です。AIに任せる範囲と人が担う範囲を、最初に線引きしておくことが大切です。

日常運用の具体的な流れ

実際の1件の問い合わせ対応を、AI活用後にどう変えるか、ステップで示します。

  1. 問い合わせを受信する チャットやメールで「有給残日数の確認方法は?」と届く。
  2. AIにFAQを参照させて下書きを作る 「以下のFAQを参考に、この問い合わせへの回答を50字程度で下書きしてください」と指示し、FAQの該当箇所を貼り付ける。
  3. 下書きを30秒で確認し、そのまま送るか微調整する 担当者が氏名や個別事情を加えて送信する。
  4. 5分以内に対応完了 以前は調べて文章を考えて送るまで10〜15分かかっていたところが、確認と送信のみになる。

この流れでは、担当者の判断と責任は変わりません。AIが作るのはあくまで「下書き」であり、送信前に必ず人が目を通します。自動返信ではなく、補助ツールとして使う位置づけです。

対応を属人化させないための工夫

ベテラン担当者が長期不在になったとき、「あの人しか知らない」という状態になっていると現場が止まります。FAQ化は、この問題の予防策でもあります。

具体的には、FAQを作る過程でベテラン担当者に「現場の実態と例外」をヒアリングし、それもFAQの補足欄に記録しておきます。「原則は20日締めだが、部門長が事前に申請した場合のみ25日まで受け付けている」といった口頭でしか伝わっていなかったルールが文書に落ちることで、誰でも対応できるようになります。

小さく始めて育てる

FAQは一度作って終わりではありません。新しい質問が出てきたら追加し、ルールが変わったら更新します。月に一度、最近の問い合わせを見直して「FAQにない質問」を拾い、追記する習慣をつけると、対応はどんどん楽になっていきます。

最初から全部を整えようとせず、まずは上位3つの質問だけFAQ化してみる。それだけでも、繰り返しの対応はぐっと減ります。

始め方の目安——最初の1週間でできること

  • 1日目: 過去1か月のチャット・メールを取り出し、AIで分類してもらう(30分)
  • 2〜3日目: 上位3件の質問について、AIに下書きを作らせ、担当者が内容を確認・修正する(各15〜20分)
  • 4日目: 作ったFAQをチームで共有し、追記・修正を一巡させる(30分)
  • 5日目以降: 新しい問い合わせが来たらFAQを参照しながら下書きを作る運用を試す

この1週間が終わった時点で、繰り返し対応の多い質問については回答時間が半分以下になる実感が得やすいです。

FAQ更新のルールを決める

更新ルールがないと、FAQは作ったまま放置されて「古い情報が書いてある」と社員から信頼されなくなります。次の3点だけ決めておくと運用が続きます。

  • 更新のタイミング: 制度変更のたびに必ず更新する。担当者がメールで「来月から経費精算の上限が変わります」と社内通知を出す際に、同時にFAQも書き直す。
  • 確認のタイミング: 月1回、直近の問い合わせをざっと見てFAQに漏れがないか確認する(15分以内で終わる)。
  • 管理場所を1か所に絞る: FAQを複数の場所(Googleドキュメント・Notion・社内wiki)に散らかさない。1か所にまとめ、他の場所からはそこへのリンクを貼るだけにする。

よくある失敗と回避策

FAQを作ろうとして途中で止まってしまうパターンには理由があります。代表的なものと回避策を挙げます。

  • 「完璧なFAQを作ろうとして手が止まる」: 最初から10件以上のFAQを完成させようとすると負担が大きくなります。まず3件だけ、2〜3行の短い回答でも構いません。粗削りでも運用を回しながら育てるほうが長続きします。
  • 「誰もFAQを見てくれない」: 問い合わせが来たときに「こちらのFAQをご確認ください」と案内し、返信に毎回FAQのリンクを添える習慣をつけます。半月もすれば社員がFAQを先に確認してから聞いてくる比率が上がります。
  • 「AIの下書きが事実と違う」: AIに古い規程や関係のない資料を渡すと、一般論や推測で補完した内容が混ざります。プロンプトに渡す資料は最新のものだけに絞り、「以下の資料の範囲内だけで答えてください」と明示するとズレが減ります。

よくある質問

Q. FAQをどこに置けばいいですか?

チームが日常的に使っているツール(Notion、Google ドライブ、社内Wikiなど)のどれかひとつに置くのが原則です。「総務FAQはここを見る」と周知できれば場所はどこでも構いません。複数の場所に分散させると「どれが最新版か」という混乱が起きるので、管理場所は必ず1か所に絞ってください。

Q. AIの回答をそのまま社員に送っても大丈夫ですか?

そのまま送るのはリスクがあります。AIは手元に渡したFAQの範囲外の情報で補完することがあるため、必ず担当者が目を通してから送信してください。特に金額・日付・手順の数字は毎回確認します。AIはあくまで「下書き作成の補助」として使い、送信の判断と責任は担当者が持ちます。

Q. 口頭での問い合わせにはどう対応しますか?

口頭の場合は、その場で回答しつつ「この内容はFAQにも載っていますので、今後はそちらもご確認ください」と案内します。また、口頭で寄せられた質問を後でメモしてFAQに追加する習慣をつけると、徐々に口頭の問い合わせ自体が減っていきます。

まとめ

総務の問い合わせ対応は、質問の重複が多いほどAIとの相性が良い業務です。多い質問を可視化し、FAQとして文章化し、AIで回答を下書きする。この流れを小さく始めれば、少人数のチームでも無理なく続けられます。FLEXのような業務AIは、こうした社内問い合わせの整理と回答支援を日常業務に取り入れる一助になります。まずは身近な「よくある質問」ひとつから、整理を始めてみてください。

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